「――なんでなんだよ」
私は黙ったまま。
「なんで、そんなこと言うんだよ」
私は口を閉じたまま。
「なぁ、答えろよ」
私は何も言わないまま。
――私は口を閉じる。何も言えなかったから。
「そんなこと、言うなよ・・・・・・」
君の目がうるんでく。
「俺が、俺が助けてやるから」
君の目に、涙が浮かび。
「だから、だからさ」
君の目から涙がこぼれる。
――私は瞳を閉じる。何も見たくなかったから。
「考えなおそう」
涙声。
「まだ、大丈夫だから」
静かな声。
「だからさ、」
優しい声。
――私は耳をふさぐ。もう、何も聞きたくなかったから。
言わないで見ないで聞かないで
弱い私にはそれが精一杯で
けれども、壊されていって
――弱いから
――弱いから
「私は、弱いから」
呟き。
回想。
そして、涙。
喜びの、悲しみの、涙。
もうこれで終わるのだという喜びと、
もう二度と戻れないのだという悲しみ。
優しさって、なんだろう?
いいことって、なんだろう?
好かれるって、なんだろう?
幾度も、幾度も、幾度も、自分に、誰かに、問いかけた。
答えは、なくって。
「私は、弱いから」
そして私は倒れ伏す。
PR